キリスト教絵画では、いろいろな時代、いろいろな画家によって、同じ主題が描かれる。一つの主題の様式を、時代別や画家別にあるいは画家自身の年代別に比較することで、中世からルネサンスにかけての進化の過程を具体的に読み取ることができる。特にルネサンス絵画の特徴である写実の表現というポイントにおいて、どの時期にどの画家によってどのような点が創造され改革されたのかを検証することの面白さは想定以上である。
例として、聖母子像という主題に焦点を当てて、ルネサンス約三百年の進化の過程を、ポイントとなった作品を鑑賞しながら、追ってみる。
第一義は、絵を楽しんで鑑賞することであり、上記の理屈はあくまでも付帯的なことです。綺羅星の如く現れたルネサンス期の天才たちの絵を大いに楽しんで観て下さい。
(了)